いよいよあと1ヶ月に公開の迫ったスター・ウォーズ最新作『最後のジェダイ』。前作『フォースの覚醒』に残された多くの謎も少しづつ解明されると思いますが、このブログでは、私の『フォースの覚醒』をはじめとするスター・ウォーズ新三部作に関しての考察を記事にまとめています。
前回までレイを中心に取り上げてきましたが、今回はフィンの謎解きをしようと思います。フィンというキャラクターは思った以上に興味深いのです。
≪以下、ネタバレを含みます≫
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フィンの出自の謎
2187の番号が意味するものとは?
フィンは少なからずフォースに強い側面を見せている。
実際、ライトセーバーを使いカイロ・レンと戦っているし、それだけでなくカイロの左腕に一撃をくらわせている。しかも、カイロと戦う前にも、惑星タコダナでは、ストームトルーパーに対してライトセーバーで戦っているのである。
さらにカイロ・レンはフィンの存在に対してかなり敏感である。最初にジャクーの村を襲撃した際も、カイロ・レンは去り際に、フィンがためらいを感じて射撃をしていないこと、を察知している節がある。また直後に、フィンが脱走した際にも、すぐにそれがフィン(FN-2187)であることを言い当てた。
旧作ファンなら既にご存知だが、2187は『新たなる希望』でレイア姫が投獄されていた監房の番号であるし、そもそも2187というのはジョージ・ルーカスがフォースの概念にインスピレーションを与えた1963年の短編映画『21-87』からきている。
したがって、FN-2187という番号自体が、彼がフォース感応者であることを示すメタファーになっているということはないだろうか。
EU(拡張世界)が明かすフィンの正体!?
実は、フィンという名前の男がスター・ウォーズ世界に登場するのは初めてではない。すでにスター・ウォーズ世界に登場している第一のフィンがいる。それが、フィン・ガルフィディアン(Finn Galfridian)という男である。
フィン・ガルフィディアンは、拡張世界に属するコミック『Star Wars : Invasion』に登場するキャラクターだ。エンドアの戦いの2年後に、惑星アトリアス(Artorias)で生まれたフォース感応者で、のちにルークの下で修業をする。惑星アトリアスの王であった父は、ホスの戦いを戦った銀河内戦の英雄である。またフィンにはケイという妹がいる。
フィン・ガルフィディアンの詳細の話は長くなるので割愛するが、注目したい点は、彼がフォース感応者である点だ。これはフィン(FN-2187)もまたフォース感応者であることを示してはいないだろうか?
実は、最近、フィン(FN-2187)の出身惑星がフィン・ガルフィディアンと同じ惑星アトリアスであることがばれた。というのも日本でも知名度のあるアメリカの食品会社であるドール社(Dole)がインターネットで公開した「あなたは、どのスター・ウォーズ キャラクター?」というクイズの解答の一人にフィンがいるのだが、そのフィンのプロフィールに書かれた出身惑星がアトリアスとなっているのだ。
フィン・ガルフィディアンの物語はレジェンズであり正史ではないが、惑星アトリアスは正史の中に組み込まれており、フィン(FN-2187)がフィン・ガルフィディアンを参考に作られたキャラクターである可能性もある。
Dole|Star Wars-Inspired Quizの答えのフィンの出身惑星にArtoriasとある
参考:フィンの出身惑星がネタバレしていると話題のクイズ
参考:フィン・ガルフィディアン(Finn Galfridian)
フォースに強い?フィンの謎
自分に対するマインドトリックを使うフィン
さて、『フォースの覚醒』の冒頭で、ストームトルーパーの脱走兵として登場したフィン。実は彼が知らず知らずのうちにフォースによるマインドトリックを使っているのでは?と思われるシーンがある。
映画冒頭、捕まってポー・ダメロンを解放し、TIE戦闘機を奪って逃走しようとするフィンとポー。ポーを連行するふりをして、格納庫で脱出するためのTIE戦闘機に近づくフィン。この時、フィンは自分に対して「落ち着け。落ち着け。」と言い聞かすのである。
ポーを助けて脱出する際、フィンは自分に「落ち着け」と言い聞かせていた
そして、映画の中でこのフォースによるマインドトリックをやっているのは、レイとフィンだけなのである。もっとも、レイは自分に対して使うのと同時に、敵のストームトルーパーに対しても使っている(スターキラー基地から脱出する時)。
そして、レイとフィンは二人とも、ミレニアム・ファルコン号での逃亡シーンで自分に対して「やればできる。やればできる」。操縦席に座ったレイは「やればできる!」と自分に対して言い聞かす。同じように砲座に座ったフィンも、やっぱり「やればできる!」と自分に言い聞かすのだ。
ファルコン号に乗り込んだ二人はともに「やればできる」と繰り返し呟くが・・・
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フィンはフォースの揺らめきを感じている?
劇中、フィン、ハン、チューバッカがマズの城にいる時、ファースト・オーダー軍はついにスターキラー基地の兵器を完成させ、ホズニアン星系を破壊する。
この破壊シーンで、フィンは丁度ファースト・オーダーから逃げようと宇宙船に乗り込んでいるところで、空を横切る一筋に光を見上げるのだが、このシーンの背景にホズニアン星系の破壊で被害に遭った人々の悲鳴と叫び声がはっきりと聞こえる。
しかも、不思議なのは実際にホズニアン星系が破壊されるのは、この次のシーンなのだ。しかも、フィンは、空の赤い光に気が付く前、宇宙船に乗り込もうとタラップを渡っている途中にこの悲鳴を聞いて、それから振り返って空を見上げるのだ。
この背景に流れる悲鳴ははっきりと聞こえており、何かしらの意図があって演出されていると思われるのだ。
スターキラー基地から発射されるスパーレーザー
船に乗り込もうとするフィン
ここでホズニアン星系の破壊による人々の叫び声が聞こえる。だが、実際にホズニアン星系が破壊されるのはこのあとのシーンで、時系列的に考えるとこの場面で悲鳴が聞こえているのはおかしい。
悲鳴に気が付いて空を見上げるフィン
空を見上げたフィンは赤い光(スターキラー基地によるスーパーレーザー)を目撃する
フィンが振り返ったときはまだ赤い光には気が付いていない。赤い光に気が付くのは空を見上げてから。すなわち振り返ったのはフィンに悲鳴が聞こえたからだが、この時点ではスパーレーザーはホズニアン星系に到達しておらず、ホズニアン星系破壊前である。では、なぜフィンには悲鳴が聞こえたのか?
しかも、その直後に、ハン・ソロとチューバッカを含めてマズ・カナタの城にいた連中が外に出てきて、空を見上げるが、このシーンでは、叫び声と悲鳴は全く聞こえない。
なぜか?これを説明できる解釈は、フィンが聞いたのがフォースを通じて聞いた破壊される運命にあったホズニアン星系の人々の悲鳴なのではないか?フィンはフォースの乱れを感じ取ったのだ。『新たなる希望』でオビワンがデス・スターの破壊によるオルデランの悲劇を感じたときのように。
つまり、これはフィンはフォース感応者であることの証と考えられないだろうか。
マズは何故フィンにライトセーバーを?
マズはルークのライトセーバーを持っていた。レイが触れてフォース・ビジョンをみるが、その後ファースト・オーダーがやってくる。マズはルークのライトセーバーを取り出すが、そこで彼女はフィンにこれを渡すのである。
この状況で、マズは何故フィンにこれを渡したのだろう?ハンやチューバッカであればわかる。これは小説版にも以下のように書かれている。
驚いたことに、マズがライトセーバーを渡したのはハンでもチューバッカでもなく、フィンだった。
フィンはその道具をじっと見つめた。手にしっくりと馴染む感じがする。ブラスターよりも軽い。おれは、この贈り物にふさわしい者だろうか?その答えは、時と状況が出してくれるだろう。
さらに、破壊された城を脱出したマズは、フィンに対して「武器なら持っているだろ」と言って、ライトセーバーを使うことを勧めているのである。マズは、ライトセーバーはレイに渡るべきと考えているのは明らかで、フィンに渡したのは、最終的にレイに渡すためだ。だが、これだけなら、ハンやチューバッカに渡せばよい。むしろ、彼らに預けるほうが自然だ。
しかも、マズはフィンにそれを使うように言うのだ。すなわち、フィンにライトセーバーを渡したのも、レイへのバトンの運び役としてただフィンを選んだわけでなく、彼ならをそれを扱えることを見抜いていたからだ。
マズはフィンと初対面であるが、彼女はフィンの周りにフォースの集中を感じたのではないか?でなければマズはわざわざフィンにそれを渡す理由がないのだ。
フィンは、ライトセーバーを使用したことはないことは小説版でも書かれている。またセーバーを使えるものも彼は知らないともある。だが、彼がそれを使おうと決心したのは「マズ・カナタがそれほど信頼してくれているのなら・・・」とマズが彼に使うことを勧めたからなのだ。
フィンの脱走の謎
脱走の動機
『フォースの覚醒』は物語のスピーディな展開で、細かな謎が気にならないのだが、実はストーリー上の素朴な疑問や謎がいくつもある。その一つが、そもそも、なぜフィンはファースト・オーダーから逃亡することにしたのかといる理由の謎である。
物語が素早く展開していくため、気が付かないのだが、実は『フォースの覚醒』でこのフィンの脱走の動機は全く語られていないのである。原作小説でも映画でもそうだが、キャプテン・ファズマやハックス将軍によれば、フィンには「全く異常の兆候は見られず、不服従の兆しや履歴もなかった」のである。
そんな彼が、突如、ジャクーでの任務で、なぜ教育されたとおりに命令を実行することができずに、任務を放棄し、最終的にレジスタンスのパイロットを助け、ファースト・オーダーを脱走するという決意をするまでに至ったのか。その動機は謎のままなのである。
フィンは逃亡の理由らしきことを、マズ・カナタの城で語っているように聞こえるが、この時フィンが言ったのは「最初の戦いで俺は決めた。奴らのために殺しはしない」ということだけだ。この言葉は、彼の脱走の動機については実は何にも答えていないのだ。
ポーを救出したのは、フィンがTIE戦闘機を操縦できないため、パイロットが必要だったからだが、フィンはそもそもファースト・オーダーを逃げ出すことを、どのタイミングで、どのように決意したのだろうか?
フィンの最初の任務での問題点
フィンが任務として戦いに参加したのは、このトゥアナル村の襲撃が最初ではない。「フォースの覚醒前夜 ~ポー・レイ・フィン~」で明かされたところでは、フィンことFNー2187は『フォースの覚醒』の直前に「プレッシーの混乱」事件で、ストライキを起こした鉱山労働者の虐殺に加わっている。
この時も、フィンはファズマの命令を実行せずに殺しを行わなかった。そして、その直後に任務として赴いたのがトゥアナル村だったのだ。
なので、フィンが語る「最初の戦い」は「プレッシーの混乱」での任務にあたる。「プレッシーの混乱」と「トゥアナル村の惨劇」はそう間もない出来事であるので、フィンは「プレッシーの混乱」での件をかかえたまま「トゥアナル村の惨劇」を向かえた。そして、ジャクーではその惨劇の凄まじさに怯えて任務を実行できなかった。また、同僚のトルーパー(FN-2003)を失ってしまった。それにより、とうとうファースト・オーダーへの忠誠が揺らぎ、脱走を決意したと考えられる。
彼は、キャプテン・ファズマから称賛されるほどの優秀なストームトルーパーだったのだ。しかし、ファズマから問題視されていた行動が、仲間に対する「誠実さ」と「情け」だった。仲間の危機を救おうとする彼の行動が、命令を実行するうえで問題とされたのだ。その中で、ファズマによる指導とファースト・オーダーに対しての忠誠が揺らいでいくことになる。
仲間へ共感はフォースの意志か?
しかし、そもそも、なぜフィンだけがプレッシーでの混乱や、ジャクーの戦いの前から、ストームトルーパーの中で唯一、仲間に対しての共感や誠実性を持っていたのか、戦いという惨状の中で突然、弱者への共感や良心が芽生えたのかはわからない。
フィンは自分で語っているように「殺すことだけを教えられた」ストームトルーパーだし、そのように訓練されてきたストームトルーパーの忠誠心は普通の兵士のレベルで考えるよりも遥かに高いはずなのだ。
実際、『フォースの覚醒』に描かれるスター・ウォーズの世界では、ストームトルーパーが脱走する可能性はかなり少ないという前提に立っている。
例えば、フィンがスターキラー基地攻撃に協力する際、レイアのレジスタンス基地におけるの会話から、「ストームトルーパーが脱走することはありえないためファースト・オーダーが彼にもスターキラー基地のある程度の情報を教えていた」ことがわかる。また、ポーがフィンに連れられて格納庫に向かい、脱出を図る際にも、小説では「ストームトルーパーが職務をなげうって逃亡を助けるはずもない」と書かれているくらいであり、ストームトルーパーはその忠誠心に関してはよぼどの訓練を受けているはずなのである。
そんな優秀なストームトルーパーであればこそ、トゥアナル村の惨劇で、同僚が敵に殺されたらどう思うだろうか?しかも同僚を殺したのは他ならぬポー・ダメロンなのだ。「殺すことだけを教えられた」「優秀な」ストームトルーパーであれば、むしろポーを助けるよりも、彼への復讐を考える方が自然なのではないか?しかし、フィンは逃亡を決意し、またポーを助けるのである。
だから、ストームトルーパーが脱走するにはよほどの理由や出来事があるはずなのではないか。そして、フィンの場合、これには何かしらのフォースの意志が働いていたとは考えられないだろうか?
仲間への誠実性や共感、同情は、生命を取り巻くフォースへの感応性が高いからだ、とも考えられないか?
まとめ
新三部作の主人公はレイだが、脇役としてフィンは重要なキャラクターだ。レイの両親は当然だが、フィンの過去もまだ謎に包まれている。何故彼がストームトルーパーになったのか、そして何故脱走するに至ったのか。『最後のジェダイ』でも少しフィンの生い立ちに関する謎が登場するかもしれません。
フィンがフォース感応者である決定的証拠はないが、『フォースの覚醒』を見ている限り、私はフィンもフォース感応者である可能性はかなり高いと考えている。また、このような描写も、製作側がいつでもフィンをジェダイ候補に仕立て上げれるように仕向けた保険とも考えられる。
そもそもレイの両親もだが、フィンの両親も謎なのだ。私は、これについてはある仮説を持っているのですが、これについてはまた別途記事を書こうと思います。
『最後のジェダイ』で、キャプテン・ファズマと一騎打ちをみせるフィンだが、彼の過去もどの程度明かされるのか、そして、どのように彼は自分の過去と対峙していくのかも見どころになりそうだ。
フォースよ、フィンの活躍を守りたまわんことを・・・
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