スター・ウォーズ映画最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は昨年12/15よりまだまだ公開中です。本ブログでは引き続き、真面目な考察から妄想までいろいろなスター・ウォーズ関連の投稿していきたいと思います。
前作でフォースを覚醒させたレイは、『最後のジェダイ』でもさらに強力なフォースの使い手として描かれていますが、これについての小話題、なぜレイは岩を持ち上げることができるようになったのか?について書いてみました。
《!以後、『最後のジェダイ』のネタバレ含む。未鑑賞の方は読まないでくださいね》
はじめに
ルークを訪ねたレイは、ルークにフォースについて何を知っているかと問われてこう答える。
「人の心を操ったり、物を浮かせたり、ジェダイがもつ力です。」
この会話から、レイのフォースの認識は、実はまだまだこんなもの、というのが分かる。だが、そのレイが唯一知っている2つの事実が、フォースで人の心を操れること、物を浮かせることができることなのだ。
実はこの答えを素直に聞いてみると、一つ解せない部分がある。それは、何故レイはフォースの力の一つに物を浮かせられる技があることを知っているのか?というものだ。
レイにフォースを覚醒させたのは?
フォースによって人の心を操る術があることはレイはすでに知っている。なぜなら、『フォースの覚醒』の中で、レイ自身がすでにこの技を使ってしまっているからだ。
だが、物を浮かせることができるというのは、彼女は『フォースの覚醒』終了時には習得していない技であり、『最後のジェダイ』では最後の最後に、レイがこの技を使えるようになるのだが、考えてみると、そもそもフォースのこのような熟達した技によって、物を浮かせることができるという事実をレイはどこで知ったのか?
『最後のジェダイ』は『フォースの覚醒』の直後から始まる物語である。したがって、逆に考えれば『フォースの覚醒』との間を読む必要がない。すなわち、『フォースの覚醒』の冒頭から始まったレイの物語は、映画で描かれたことが全てと考えてまずはよいだろう。
実は、そのようにして見ていくと、レイがこのフォースの力を知ったと思われる出来事は1つだけしかない。
隠れたカイロ・レンの間接的影響力
『フォースの覚醒』を思い返してみると、その1つの出来事が分かると思う。
それは、スターキラー基地におけるカイロ・レンとの邂逅だ。
この時、カイロ・レンを「化け物!」と呼んだレイは、逆にカイロ・レンのフォースによって飛ばされてしまう。これは飛ばされたといっても、まっすぐ後方へ飛ばされる形のフォース・プッシュではなく、宙に舞いあげられて、放物線を描くようにより遠くにより激しく飛ばされるという技だ。
すなわち、レイは、この時、初めてフォースによって物を浮かせることができる事実を知ったのではないだろうか?
そのようにみていくと、レイがフォースについて現時点で知っている2つの技、人の心を操れるの術、物を浮かせるの術、は実はカイロ・レンによって自分が被験したことでしかないという事実に気が付く。
フォースで人の心を操れること、というのは、レイがスターキラー基地を脱出するときにストームトルーパーに対して使っているのだが、このレイのフォースが覚醒するきっかけは、カイロ・レンによる尋問であった。
カイロ・レンのフォースによる読心術(マインド・リード)によって、「スカイウォーカーの地図」の場所を探索させられたレイは、逆にカイロ・レンに対して、それを仕掛ける。
フォースで人の心を操れることというのは、前段階として、フォースにより人の心に潜り込むという過程が必要だと思えわれ、レイはこの時初めて、カイロ・レンによって仕掛けられたフォースを逆手にとるように、逆に人の心を探索する術を学んだのだ。
これが、スターキラー基地脱出の際に、レイがごく自然に人(この場合はストームトルーパー)の心を操れるようになったきっかけだと思われる。
そして同様に、物を浮かせることができることは、カイロ・レンがレイに仕掛けた技であり、レイは逆にこのことからフォースによって物を浮かせることができてしまうという事実を知ったと思われるのである。
そうなると、レイは実は本人では何も知らないのだが、結果的にカイロ・レンによってフォースで使える技を知ってしまったということになる。
『フォースの覚醒』で、レイはカイロ・レンを見て、人の心を操るの術を知り、習得し実践してしまった。そして、今度は、同様にカイロ・レンを見て、物を浮かせるの術を知り、『最後のジェダイ』の最後では、遂に習得して実践してしまったのである。
逆に言えば、実は注意深く映画を見ていくと、レイはフォースが強いといっても、カイロ・レンがレイの前で披露したフォースの技以外は全く何も知らないのである。
そして、『最後のジェダイ』をご覧になれば、一目瞭然でレイがルークから伝授された熟練の技というものは実はこの段階では皆無だ。
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実は難易度の高い2つの技
この人の心を操るの術(マインドトリック)と、物を浮かせるの術は、実はジェダイでも難易度の高い技だと思われる。
思い出してほしいのだが、フォースによるマインドトリックを成功させているジェダイは、オビワンくらいしかいないのだ。
『ファントム・メナス』の中で、オビワンの師匠であるクワイ=ガン・ジンは、惑星タトゥイーンのトイダリアンのジャンク商人であるワトーに、アミダラ女王の宇宙船の光速航行用ドライブを「共和国通貨で売れ」とマインドトリックを使うが、見事に効いていない。
またオビワンに学んだルークも、『ジェダイの帰還』でジャバ・ザ・ハットに対して「ソロ艇長を渡せ」とマインドトリックを使うが、これも不発だった。確かにビブ・フォーチュナには効いていたようだが。
トイダリアンやハットにはマインドトリックが通じないということらしく、ストームトルーパーのような意志の弱い相手には良く効くという説明らしい。だが、そうだとしても、劇中での成功例が多いのはやはりオビワンで、デススティックを売ろうとした男を改心させる善行に用いるときもあれば、有名な『新たなる希望』でのストームトルーパーへのマインドトリックは言うまでもない。
そして、物を浮かせることに関しては、『帝国の逆襲』でルークは相当苦労しており、これを使かいこなせていたのは、唯一、ヨーダ大先生くらいだ。
ヨーダ先生はX翼機を沼地から持ち上げて見せるが、なかなか容易ではなさそうだったし、『クローンの攻撃』でもヨーダはアナキン、オビワンを救うために倒れる柱をなんとか支えるが、かなり疲労困憊していた。
もっとも、クワイ=ガン先生は、のちにフォース・ゴーストとして復活するという新たなるフォースの奥義を習得しているし、ルークもついにフォースで自分の姿を投影するという、フォース・プロジェクションという新しい技を習得しているので画期的なことをやっているのだが。
このように、マインドトリックと、物を浮かせるという2つは、ジェダイでも難易度の高い技だと思われ、2人の偉大なジェダイであるオビワンとヨーダが習得していたこの技を、カイロ・レンがやっているところを見ただけで、簡単にやってのけてしまったレイはやはり相当の潜在能力を秘めていると思われるのだ。
それと比較したら、ライトセーバーを使うことは多分比較的容易なものなのではないか?ルークはオビワンからすぐにライトセーバーの使い方を習っていたし、パダワンの子供たちもヨーダから、ライトセーバーの使い方は小さいころから学んでいた。
エピソード9では新たな力が?
レイがルークに言っていた 「人の心を操ったり、物を浮かせたり、ジェダイがもつ力です」という言葉は、何気ない台詞のようだが興味深い。
すなわち、オビワンとヨーダは共和国崩壊を生き残った最後のジェダイたち、旧ジェダイの二大巨匠であり、これら二人を象徴するフォースの技についてレイが台詞で言及するというのは、実はフォースによる技についての核心を突く言葉のように思う。
そして、それらの技をいとも簡単に使いこなしてしまっているのが新三部作のレイであるのだ。
以上のことから考えてみると、レイは実はまだまだ新しい技を身につけていきそうに思える。だが、レイにフォースの練達の技を披露できる存在は、もはやカイロ・レンだけしかなく、レイが光明面、暗黒面にかかわらず、フォースの技を学ぼうとしたら、何を学ぶのだろうか?
例えば、『フォースの覚醒』でカイロ・レンが使っていたブラスターのレーザー弾を空中で静止させる技や、これと基本的に同じだが相手の動作を封じ込める技など、このような技を、エピソード9ではレイが披露する可能性もあるかもしれない。
なぜなら、金縛りの術はレイが直接カイロ・レンから受けたフォースの技であるからだ。もちろん、『フォースの覚醒』における惑星タコダナの森の出来事だ。ここで、レイはカイロ・レンからこの技を受けるという体験をしている。
基本的に、レイは「これって私もできちゃうかも」でやってみて「できるじゃん!」という女の子なので(そういう意味で、レイはまさしくヨーダ大先生のおっしゃっていた「やるか、やらぬか、試しなんていらぬ!」を実践している素直な生徒なのである)
だとするならば、エピソード9に至るまでの間に、レイは、マインドリード、マインドトリック、浮遊術に加えて、この金縛りの術やカイロ・レンが披露していた技を、「そういえば、カイロ、私にあんなことしてたわ。私もやったら出来るかも?」と覚えてしまうこともないだろうか?と思うのである。