StarWalker’s diary

映画スター・ウォーズに関する独自の考察、謎解き、分析、最新作のストーリー予想、最新情報を発信するブログ

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の謎解き~ルークはレイの到来を予期していたのか?~【ネタバレ・考察】

 すでに米国では発売された『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の小説だが、この中には映画で描かれていなかあった様々な要素が登場している。新三部作はすでにエピソード9を残すのみとなった今でも、『最後のジェダイ』はまだまだ謎の多い物語になっています。今回は、その小説に描かれた謎のうちの一つ、ルークとレイの会話に関するある疑問を取り上げて考えてみようと思います。

《!以後、『最後のジェダイ』(映画・小説)のネタバレを含みます

f:id:StarWalker:20171121084738p:plain

 

スポンサーリンク

 

 

ルークが言った「孤児」の意味

 ルークをなんとか説得させようとレイはルークの後を追っていた。ところが、フォースに呼ばれて、レイはジェダイの古文書の前にやってくる。レイはルークに「この場所に見覚えがある」ことを伝え、それに対しルークは、ここが「古文書を納めるために何千年も昔に作られた」場所であり、自分も「ジェダイの最古の遺物」だと語る。

 『最後のジェダイ』で有名なルークが初めてレイの存在を意識するシーンである。これ以降、ルークとレイの間で交わされるる会話は、小説では映画で描かれたものよりも多少長い。内容はほとんど同じなのだが、小説ではとある気になる記述が登場する。以下、Lはルーク、Rはレイの台詞で会話だけを抜き出して引用してみてみる。

L:Who are you?

R:Werent't you listening? I told you the whole stroy.

L:I went in and out.

R:The Resistance sent me.

L:They sent you? What's special about you? Jedi lineage? Royalty?

L:An orphan, this is my nightmare. A thousand wannabe younglings showing up on my doorstep, hoping they're the Chosen Whoevers, wanting to know how to lift rocks.

L:Where are you from?

R:Nowhere.

L:No one's from nowhere.

R:Jakku.

L:All right, that is pretty much nowhere. Why are you here. Rey from Nowhere?

L:君は誰だ?

R:話を聞いていなかったの?すべて話した通りだわ

L:聞き流してた

R:レジスタンスの使いで来ました

L:彼らが君を遣わしたと?なぜ君なんだ?ジェダイの血統か?王族か?

L:孤児だな。これは悪夢だ。ジェダイの成りたがり屋の何千もの子供たちが私の玄関先に現れて、 自分こそが選ばれし誰それだと思って、岩を持ち上げたがる

L:どこから来た?

R:どこでもないわ

L:どこでもないということはないはずだ

R:ジャクーよ

L:そうか、どこでもないようなものだな。君はなぜここにいる?どこからともなくやってきたレイ

  このルークとレイの会話の中で注目すべきは、ルークがレイに「孤児か?」と聞く下りだ。そして、同じような孤児たちが選ばれし者だと思ってやってくるという悪夢を連想している。

 このルークの台詞は、旧共和国のジェダイ騎士団について思い出してみると非常に興味深い。ジェダイは結婚そして恋愛が出来なかったわけだが、その一方でアナキン、ルークそしてレイア、ベン・ソロの関係に見られるように、フォース感応力というものは、遺伝的要素があることは明らかで、親から子に引き継がれている。

 だが、旧共和国時代のジェダイは結婚禁止である。ということは、すなわち、本来ジェダイには、親がジェダイで、自分もジェダイという2世ジェダイというものは存在しないことになる。では、ジェダイ候補生はどこから連れてくるのか?といえば、ジェダイ騎士たちが銀河各地からフォース感応力のある子供をリクルートしてくるという、ポテンシャル採用なのである。

 しかも、アナキンは当時10歳前後で、訓練を始めるのに遅いと言われているということは、実際はもっと小さなころから親と離されて、コルサントに連れてこられるわけだ。

 だが、そうやってせっかく育てられたジェダイが結婚禁止であれば、かれらの素養を受け継ぐ次世代は生まれてこないわけで、そうなれば銀河にフォース感応力を備えた子供がたくさんいればよいが、何千年もそのような状態が続くかという保証はなく、ジェダイ騎士団も、東洋のどこかの国のごとく、少子高齢化を避けられないはずだ。

 実際に、ジェダイの掟は愛が執着心を生むことを恐れていたわけだが、アナキンがヴェイダーとなってしまったのとは反対に、ルークがアナキンを救った力も愛によるものだったわけだ。この意味で、オビワンとヨーダは、愛の持つ力の一方的な面しか見ておらず、ルークは正しかった。

選ばれし者

 では、なぜジェダイはそんなことをしていたのだろう?執着が悪しき事であり、暗黒面へ繋がることを禁じていたという説明はあるものの一つ踏み込んで考えてみたい。

 ジェダイ騎士団は、ずっとフォースにバランスをもたらす予言の子の存在を信じていたわけだが、この予言の子は、誰かジェダイの血統に生まれる子ではなく「フォース自身の意思により生まれてくる子」だと騎士団や評議会は信じていたように思える。そして、ジェダイ騎士団は、この「選ばれし者」をずっと探していた。

    だとすると、ジェダイがフォース感応力を持つ子供達をリクルートしていたのは、彼らの中に、この予言の子がいる可能性を信じていたからだろうと思われるのだ。そして、これらの中には身寄りもないような子供もいたことは十分考えられる。

 旧三部作において、ルークは旧共和国時代のジェダイについて全く知らないでいる。この時は、おそらく父親であるアナキン・スカイウォーカーがかつて、フォースにバランスをもたらす予言の子と見られていたことも知らなかったのではないだろうか。

 だが、『ジェダイの帰還』以降、ルークはフォースとジェダイについて研究する中で、この選ばれしものの予言についても知ったと思われる。ジェダイの古文書を研究する過程でこれらの予言についても知ったと思われるし、あるいは自分の父親であるアナキン・スカイウォーカーについて調べる中で、選ばれし者の予言とそれに対するジェダイの考えや、予言そのものの意味についても調べたに違いない。

 そうだとすると、ルークは宇宙のフォースのバランスが崩れた時に、再び選ばれし者が現れることも知っていたと考えてもおかしくはないだろう。現に、スノークの台頭、ベン・ソロの裏切り、ファースト・オーダーの圧政と、長い間保たれていたフォースのバランスが崩れ、不均衡な現状に陥っていることをルークは認識している。

 ルークは、レイのような孤児で身寄りのない子供に、フォースにバランスをもたらす者が現れることや、レイのような子がいつか現れることを予感していたかもしれないのだ。

 

スポンサーリンク

 

 

なぜレイは「この場所を知っている」のか?

 レイ自身の劇中の台詞でわかるように、レイは惑星オクトーのジェダイ古文書が納められた洞を夢でみたことを明かしている。そして、レイがこの場所にひかれた時の彼女の心理描写もまた小説には詳しく書かれている。

The books seemed to call her. But unlike the lightsaber on Takodana, that call didn't feel like a threat. Rather, it felt like a promise, one made long ago and now ready to be fulfilled.

その書籍は彼女を読んでいるようだった。だが、タコダナのライトセーバーの時とは違い、それは悪い兆しのようには感じなかった。むしろ遠い昔に交わされ、今ようやく果たされようとしている約束のようであった。

 これを読むと、まさしく、レイはこの場所に導かれるべくして導かれ、来るべきして来たことがよくわかる。ここで、レイはまさしく「選ばれし者」なのである。

 そして、ルークがレイを「Rey from Nowhere」と呼んでいる点は興味深い。当然、ここで、from nowhereというのは、レイが自分の出身を「どこでもない」と答えているのに対応しているが、彼女の出自が不明で「どこの出だから分からない」さらに突然現れたものごとに対して「どこからか突然現れた」という意味も含む。

   つまり、レイが孤児であり、突然ルークの前にやってきたことを指して、どこからともなくやってきたレイという意味だが、このブログの読者の方は、もう知っている通り、Reyは「光」であるから、これは「どこからともなく現れたレイ」という意味のほかに「どこからともなく現れた光」というようにも解釈できるだろう。

    『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の小説には、ホイルス銀河史の引用が冒頭に記載されている。

はじめに昼来たり、ついで夜訪なふ。闇ののちに、光射す。ひとは言ふ、その不和を整へ得るは、灰いろを解くジェダイの透徹の眼のみ、と。 「ホイルス銀河史第4章477節」

 ここで言う光とはレイのことであると解釈できるだろう。だが、それだけだろうか?ルークはレイが孤児であることに気が付いているのだが、わざとらしく「from nowhere」を強調するルークは、レイが誰でもなく、親もないまさしくジェダイの予言にある「選ばれし者」の条件を満たしていることを知っていて、このような言い回しをしているとも思ってしまうのである。

まとめ

    少なからず「選ばれし者」が現れる可能性を知っていたルーク。彼のもとにレイが訪問してきて、古文書を見つけ、それを夢で見たことを語り、さらに彼女が自分が孤児で、自分の中に覚醒したフォースについて語った。ジェダイの予言を知っていたルークは、この時、レイがその「選ばれし者」である可能性に気がついたと思われるのだ。実際に、小説『最後のジェダイ』を読んでいくと、このことを支持するような記述がいくつかあるのだが、これらの解釈については、引き続き次回以降の記事で取り上げてみたいと思う。