StarWalker’s diary

映画スター・ウォーズに関する独自の考察、謎解き、分析、最新作のストーリー予想、最新情報を発信するブログ

『スター・ウォーズ』はどこへ向かう?スピンオフ第3弾の製作休止の噂

 いよいよ今月29日には『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』が日本公開を向かえますが、その矢先、スター・ウォーズの今後の展開について、ルーカスフィルムが『ハン・ソロ』に続くスピンオフ作品の製作を休止し、エピソード9に注力することを決定したという噂が出ました。今回はこれに関連して、これまでのスピンオフ作品の計画の推移についてまとめました。

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スター・ウォーズ』スピンオフ映画は製作休止!?

  6月20日にインターネット・メディアであるコライダー(Collider)にルーカスフィルムスター・ウォーズ・ストーリー映画は一時休止か?」Star Wars Spinoffs on Hold at Lucasfilm | Colliderというタイトルで記事が掲載された。この記事では、ルーカスフィルムの内情に精通する情報源から入手した情報として、ルーカスフィルムが、ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に続くスピンオフ作品の製作を休止し、新三部作の完結編であるエピソード9に注力することを決定したと書かれて話題になっている。スピンオフ作品の第3弾としては、オビ=ワン・ケノービのスピンオフや、ボバ・フェットのスピンオフなどが噂されていたが、これらも現在製作は停止状態にあると報じている。

 また、スピンオフ休止の理由として『ハン・ソロ』の興行が振るわなかったことを理由として挙げている。またライアン・ジョンソン監督の進める三部作の方は、予定通り製作をする計画であるとも付け加えている。

 しかし、これに反応してABCニュースはルーカスフィルムがこの情報に対して「不正確である」と否定したと報じられてさらに話題になった。そのABCニュースのクレイトン・サンデル氏が、ルーカスフィルムから直接入手した情報として伝えていることによるとルーカスフィルムでは公式に発表されていない複数の映画を企画中である」ということだ。これらの企画計画中の映画の内容は明かされてはいないがライアン・ジョンソン監督の新三部作やゲーム・オブ・スローンズ組による映画史シリーズとは別のもの」ということである('Multiple films' still in 'Star Wars' pipeline, sources say - ABC News)。

 ABCはディズニー傘下のメディアであり、ルーカスフィルムがABC記者に語ったという内容は信憑性は高いとみえる。

 このABCニュースの記事を読んでみると、コライダーの記事内容に対しては否定しているものの、スピンオフ第3弾について製作をするのかしないのかは不明だ。では、この辺り、ルーカスフィルムの内情はどのようになっているのだろう?

元々スピンオフは2作品だけ

 このスプンオフ第3弾はかなり紆余曲折の経緯を辿って今に至っている。まずはそれを振り返ってみたい。

    先ずここで最初に確認しておきたいことが1つある。それが、もともと『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品については2作品だけ製作することが最初の構想だったことだ。

 ディズニーがルーカスフィルムを買収した直後の、2013年の2月に発表された計画では、一つは、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』の脚本を書いたローレンス・カスダン、もう一つは『シャーロック・ホームズ』シリーズの脚本を手掛けたサイモン・キンバーグによる脚本で製作し、1作品目は『フォースの覚醒』の後に公開、そして2作品作ることの2点だけがこの時点で決まっていた(New Spinoff Films Set to Expand the Star Wars Galaxy | StarWars.com)。

 この時点では、この2作品が何を主題にした作品になるかも不明であったが「ある特定のキャラクターに焦点をあてた独立した映画」としており、ハン・ソロあるいはボバ・フェット、あるいはヨーダを主人公にした2作品だろう、とファンの間では憶測が流れていた。

3つ目のスピンオフの製作理由とは?

 では、なぜスピンオフ映画は3作目を製作することになったのだろうか?

 スピンオフ3作品構想が発表されたのは、2016年9月で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の公開まで3か月を控えた時期だった。この時、初めて『ローグ・ワン』とこの時すでに製作に向けて動いていた『ハン・ソロ』に続いて、2020年を公開予定としたもう一つスピンオフを作ることが公表されたのだ(Disney Announces Plan for 'Star Wars' Anthology Film in 2020 - Rolling Stone)。

 だが、注目したいのは3作目を製作することは、この2016年9月の発表よりも以前から検討していた。

 2014年の5月の段階で、ウォルト・ディズニー・カンパニーの会長であるロバート・A・アイガーが少なくとも3つのスピンオフ映画を考えていることが情報としてリークしていた。この 2014年5月は、ギャレス・エドワーズがスピンオフ第1弾『ローグ・ワン』を監督することが発表された時期だ(当時はタイトルはまだ不明)。

 これが事実ならば、2013年2月にはスピンオフは2作品としていたディズニーとルーカスフィルムが、その後、2014年5月までの間に、スピンオフ作品をもう1つ作ろうと考えた理由があるはずだ。 

 スピンオフ作品2作は、製作が公表されたとき、これらは「ある特定のキャラクターに焦点をあてた独立した映画」としていた。この時、ディズニーとルーカスフィルムの頭にあったのは、旧作からの人気キャラクターであるハンとボバ・フェットを主人公にした映画である。

 だが、ご存知の通りスピンオフの第1弾は『ローグ・ワン』となり、第1弾は『ハン・ソロ』になり、ボバにいたっては今は不明で、第3弾はオビ=ワンが噂されている。そうなると一つ疑問が湧かないだろうか?

 『ローグ・ワン』は、デス・スターの設計図を入手する反乱軍の物語を映画化したものだったが、スピンオフ2作品が「ある特定のキャラクターに焦点をあてた独立した映画」としていたことから考えると、スピンオフの第1弾が『ローグ・ワン』になった理由がわからないのだ。

 

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第1弾が『ローグ・ワン』になった理由

 実はこれにはある理由がある。そして、この理由が今話題になっているスピンオフ3弾は作るのか?作らないのか?の話のきっかけになっている。

 当初、ルーカスフィルムの中では、スピンオフとして『ローグ・ワン』の物語を作ることは全く考えられていなかった。スピンオフはあくまでも、旧作の人気キャラクターを一人主人公にした単独の映画にする予定だったと思われるのだ。

 だが、ここにジョン・ノールという人物が人役かうことになる。ジョン・ノールは、『スター・ウォーズ』シリーズをはじめとする様々な映画の特殊効果で有名なインダストリアル・ライト&マジック(ILM)のVFXスーパーバイザーだ。

 まだ、ジョージ・ルーカスルーカスフィルムを持っていたころ、ルーカスは『新たなる希望』と『シスの復讐』の間の時代を舞台にした実写テレビドラマシリーズを企画していたことがある。これは『Star Wars: Underworld』と仮題が付され2010年ごろまで検討が進んでいたが、予算の都合で実現しなかった。

 じつは、ジョン・ノールは、この実写テレビドラマシリーズのための物語を考えていた時に『ローグ・ワン』の原案となる物語を考案したのだ。おそらく2005年から2010年の間のころだろう。だが、その後この実写テレビドラマシリーズの計画は予算の折り合いがつかずなくなりキャンセルされる。ルーカスフィルムもディズニーに売却され、彼のアイデアは実現しなかった。

 ところが、ルーカスフィルムがディズニー傘下となったあと、スピンオフ映画を製作することが決定した時、ジョン・ノールはこのアイデアルーカスフィルムの同僚に語ったのである。彼はルーカスフィルム・ストーリー・グループ(2013年にできたスター・ウォーズ正史を取りまとめる部門)のパブロ・ヒダルゴや、キリ・ハートにこのアイデアを語り、キャスリーン・ケネディと話をしたのだ。パブロ、キリ、そしてキャスリーン・ケネディもこのアイデアを気に入り、これは『ローグ・ワン』の原案として、スピンオフ第1弾として製作されることが決定したのである。

 こうしてスピンオフ第1弾が『ローグ・ワン』となった。が、こうなると当初の計画にあった2つのうち片方をどうするか?という検討をせざるを得ない。

 もともと予定していたローレンス・カスダン脚本によるハン・ソロのスピンオフ、あるいはサイモン・キンバーグ脚本によるもう一つのスピンオフ、ボバ・フェットのスピンオフのどちらかが玉突きで第2弾となるのは良いが、スピンオフは2作品としていたので、予定通り2作だけ作るのか、それとも予定通りキャラクターのスピンオフとしてもう1作品作るのか?ということを考える必要が出た。  

 スピンオフ第3弾の製作へ

 『ローグ・ワン』が第1弾として選ばれたとき、このような検討がルーカスフィルムおよびディズニーの中でされたに違いない。そして、それが2014年5月頃に、ロバート・A・アイガーが少なくとも3つのスピンオフ映画を考えていると明かしたという話に結び付くのだ。

 つまり、スピンオフの第3弾は、当初、第1弾としてもともとは計画されていなかった『ローグ・ワン』の物語を最初に据えたことで、当初の2作が玉突きになったことにより発生したと言える。

 そして、この時の結論として、少なくともサイモン・キンバーグ脚本によるスピンオフは予定通り製作するという話になったのだろう。

 なぜなら、2014年6月4日に、ジョシュ・トランク(『ファンタスティック・フォー』)が監督として選ばれ発表されているからだ。これは、この直前の5月22日にギャレス・エドワーズが『ローグ・ワン』の監督に選ばれた直後である。

 ジョシュ・トランク監督による第2弾は、この時点で2018年公開を予定、内容はボバ・フェットに焦点を当てたものになる予定であった(Star Wars: Secret plans for new movies discussed after Rogue One | EW.com)。

 つまり、この時点で、第1弾がギャレス・エドワーズ監督による『ローグ・ワン』、そして第2弾がジョシュ・トランク監督、サイモン・キンバーグ脚本のボバ・フェットのスピンオフという方向性がおそらく確定していたのだろう。また第3弾も製作をする予定としており、ローレンス・カスダンによるハン・ソロのスピンオフという順番を考えていたと思われる。

 だが、残念ながらこのおよそ1年後の2015年5月にジョシュ・トランクはプロジェクトを去る。理由は、はっきりは分からないが、ジョシュ・トランクが自分のキャリアの方向性を考え降りたという話や、『ファンタスティック・フォー』の現場での行動をルーカスフィルム側が問題視したという話もある。

 いずれにしても、この時点でルーカスフィルム側は、第2弾のスピンオフの計画を再度見直した。何をしたかというと、ジョシュ・トランク監督、サイモン・キンバーグ脚本の組み合わせのスピンオフを一旦棚上げして、ローレンス・カスダン脚本によるスピンオフを先に製作することにしたのだ。

 こうして、ジョシュ・トランク解任発表後の2015年7月にフィル・ロードクリストファー・ミラーが、ハン・ソロのスピンオフを監督することが発表される。つまり、この時点で、スピンオフ第2弾はボバ・フェットでなく、ハン・ソロで行くことで決定していたわけだ(Christopher Miller and Phil Lord to Helm 'Star Wars' Han Solo Anthology Film – The Workprint)。

 

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スピンオフ第3弾発表前後の混乱

製作の決定

 こうして、途中まで順調に進むかに見えたもう一つのスピンオフ映画だが、ここで一旦宙に浮いてしまった。そして、『ハン・ソロ』の監督の決定した2015年7月から3つ目のスピンオフの製作が公になった2016年9月の間、おそらくスピンオフ第3弾の製作は決定的なものではなく、様々な検討がされたのだろう。

 その後、新三部作第1弾の『スータ・ウォーズ/フォースの覚醒』が好評で興行成績で成功し、『ローグ・ワン』も成功が見込めると踏んだディズニーは、シリーズへの期待の高さから強気になったのだろうか、2016年9月に正式に2020年に向けて第3弾を製作することを決め公表した

 だが、この時はスピンオフ第3弾の内容については触れられず、またサイモン・キンバーグが引き続き脚本に関わるのかも公表されてなかった。すなわち、この時点で、もともと第3弾として計画されていただろうボバ・フェットのスピンオフ映画とする路線は一旦白紙に戻ってしまったように思える。そして2016年中には続報は出てこず、そもそも3つ目のスピンオフは本当にやるのかという疑問も出ていた。

 その後、ようやく2017年4月に、オーランドで行われたスター・ウォーズ・セレブレーション』の中で、キャスリーン・ケネディは、「この年(2017年)の夏」にスピンオフの第3弾について発表すると発言したのだ。

 発表が2017年4月になったのは理由がある。実は、2017年1月にまさしくスピンオフ第3弾をどうするかという話をルーカスフィルムで協議する予定だったのだ。『ローグ・ワン』の公開の1か月前の2016年11月にキャスリーン・ケネディは、エンターテイメント・ウィークリーのインタビューで「来年1月に腰を据えて計画を考える」予定だと答えていたからだ(Star Wars: Secret plans for new movies discussed after Rogue One | EW.com)。そして、この会議には、三部作や新スター・ウォーズ映画に携わる監督、脚本、そしてルーカスフィルムのストーリー・グループが参加することをほのめかしていた。

 この時期には 『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』のサム・イスマイルなどが脚本を書くという噂も出ていたし、実際にルーカスフィルム社内では、スピンオフ第3弾をどうするかについて検討していたことは間違いないだろう。もともと有力候補だった『ボバ・フェット』に対して『オビ=ワン』の話が最初に浮上してきたのも、2016年末のこの時期だったはずだ。

 だが、この1月の会議では、スピンオフの話はおそらく決まらなかったはずだ。というのも、より優先度の高い問題が出てきてしまったからである。

 もちろん、2016年末に不幸にも亡くなったキャリー・フィッシャーの件に関して、エピソード8ですでに撮影したレイアの扱い、そしてエピソード9の話をどうするのかという問題だ。

キャリー・フィッシャーの死が与えた影響

 不幸にも旧三部作でレイア姫を、新三部作でレイア将軍を演じたキャリー・フィッシャーが2016年12月27日に亡くなった。これはファンに非常に大きな衝撃を与えたと同時に、製作陣にとってもかなり大きな出来事であったことは当然だ。

 当然、エピソード9でレイアが登場するのが難しくなるし、さらにエピソード8ですでに撮影済みのレイアの登場シーンをどうするかという問題もある。

 これによって、当初2017年1月に関係者で集まって協議するとしていたスピンオフ映画については棚上げになってしまったに違いない。つまり1月に集まったのはいいが、議題はもはやスピンオフでなく、新三部作をどうするかという点にならざるを得なくなってしまったに違いない。

 というのも、まず1月にレイアのCG復活はないこと、そして4月には、キャスリーン・ケネディ自身が公にしたように「エピソード9にキャリーは登場しないこと」と決定した。

 つまり、2017年1月から4月までは、キャリー・フィッシャーの死とそれにともなうエピソード9をどうするか問題で手一杯だったのだ。

 そして、スピンオフについて新しい情報が出たのは5月。この時、キャスリーン・ケネディは6月までに決定すると時期を明言して語った(Confirmed: Lucasfilm to Make Final Decision on the 2020 Star Wars Standalone Movie in June | Star Wars News Net)。この時、進行中だったのは『オビ=ワン』か『ボバ・フェット』のどちらかだろう。

 だが、その後もスピンオフについてルーカスフィルムからの発表はなかった。というのも、2017年の夏は様々な出来事が重なった時期だった。なにせ6月に『ハン・ソロ』の方でフィル・ロードクリストファー・ミラーが解任され、9月に肝心の新三部作の方で、コリン・トレヴォロウが解任されたりとドタバタが続いたからだ。

 『ハン・ソロ』は製作の収拾がつかなくなっていたこと、そして『エピソード9』はレイア問題で、コリン・トレヴォロウとキャスリーン・ケネディが着地点に一致を見なかったことが原因だと思うが、このような流れの中で、スピンオフ第3弾についも製作スタッフの人選や、題材を考え直したのだろうと思う。

 結局、第3弾に関する動きが出るのは8月になってからだ。

浮上してきたオビ=ワンの噂

 2017年8月にスティーブン・ダルドリーが監督候補としてオビ=ワンのスピンオフについてルーカスフィルムと話をしていることが報じられた(Obi-Wan Kenobi 'Star Wars' Film in the Works, Director in Talks (Exclusive) | Hollywood Reporter)。またこの時の情報では、ルーカスフィルムの内部では、同時にボバ・フェットやヨーダなど他のキャラクターを中心にした計画も進めていると報じられている。

 その後、2017年12月に、2019年から撮影開始が予定されること、ワーキングタイトルが「ジョシュア・ツリー(Joshua Tree)」であることなどが明らかにされ、2018年5月になって撮影はパインウッド・スタジオで2019年1月中旬から徐々に開始されること、4月から本格的に撮影に入り2020年12月に公開予定であることなどの情報が出てきた(Exclusive: Obi-Wan Kenobi movie in pre-production, filming scheduled for Spring 2019 - Fantha Tracks)。

 だが、興味深いのは、同じ2018年5月末には、ジェームズ・マンゴールド監督がボバ・フェットを主人公にしたスピンオフ映画を製作するという噂も出ていて、脚本はサイモン・キンバーグの名前が挙がっている(The Star Wars Boba Fett Movie Is Happening — James Mangold to Direct | Hollywood Reporter)。また、同じ時期に、キャスリーン・ケネディは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で若き日が描かれたランド・カルリジアンに関するスピンオフや、ハンやチューバッカの物語にも意欲を見せている(Star Wars: Lucasfilm's Kathleen Kennedy Talks Lando Spinoff | Fortune)。

 オビ=ワンについては監督がスティーブン・ダルドリーと噂されながら、脚本も誰が書くのかの情報もなく、今後の予定は不明だ。また、ボバ・フェットの方も同様に監督の噂もありながら公式な発表がないという状態が続いている。

SW映画の今後は?

    さて、こうして見ていくと、2017年6月までにはほぼ決定仕掛けていたスピンオフ第3弾について、その後物語や製作スタッフ、撮影予定などの計画は裏で進みながらも、その題材が何になるのかなど情報が出ないまま、複数の可能性を検討しながら今に至っていることがわかる。 

    今回のスピンオフ作品の製作休止の話の背景には、スピンオフ1作目が『ローグ・ワン』になった結果として、それ以降続く紆余曲折がある。 逆に言えば、もともとスピンオフは2作という計画から始まっているので、3作目についてはいつでも見直される可能性があったのだ。 

 ディズニーとルーカスフィルムスター・ウォーズ構想は、新三部作とスピンオフ2作のみが、買収時からの既定路線であったわけだが、第1弾に『ローグ・ワン』を持ってきたため、予定が変わった。そして、一旦は予定通りスピンオフ第3弾の製作を決定し、それに向けて動いていた。

 これは私の勝手な予想だが、スピンオフ第3弾はルーカスフィルムというよりもディズニー側の方が望んだものだったのではないだろうか?

    ルーカスフィルム側(キャスリーン・ケネディ)からすると、もともとスピンオフはエピソード7と8、8と9の間に公開する2作の予定であって、『ローグ・ワン』と『ハン・ソロ』で一旦、当初の計画を終了させ、それと切り離してエピソード9以降の計画を別に考えるつもりだったのだろう。

 ディズニー側の幹部(ロバート・A・アイガー)は、当然ながら、スター・ウォーズのブランド力を利用して、これをドル箱シリーズとしたい。そして、『フォースの覚醒』『ローグ・ワン』が順調だったため、強気になってスピンオフ3作目をやることを望んだように思えるのだ。

 ところが、『最後のジェダイ』ではファンからの支持を得られず、また『ハン・ソロ』は興行的にうまくいかなかったという『フォースの覚醒』『ローグ・ワン』時とまったく逆の結果が起きてしまい、ここにきて、ディズニーとルーカスフィルムは再び、スピンオフ映画について再考せざるを得なくなったに違いない。

    そして、スピンオフ第3弾が決まりかけながら、公式発表はなくずるずると検討だけが裏で行われ現在に至る2017年8月以降2018年5月までの間には他にも様々な動きがあった。そして、この様々なプロジェクトの製作を検討、決定されていく中で、スピンオフの第3弾の行方はあやふやにされてしまったような印象を覚える。

 ご存知の通り、2017年11月にはライアン・ジョンソン監督の三部作の製作が発表され、2018年2月には『ゲーム・オブ・スローンズ』のデイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスの二人による映画シリーズが発表された。そして同年3月にはジョン・ファヴローが手掛けるライブ・アクション・シリーズの製作が発表になる。

 そして、そこにはディズニーのメディア戦略が見え隠れする。スピンオフ第3弾がここまで流れてなかなか方向性が決まらないのも、ディズニー側のある思惑によるものなのではと思うのだ(次回に続く)。