StarWalker’s diary

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スター・ウォーズ新三部作の謎解き~2~:エピソード9のワーキングタイトルが意味する「光と闇」の物語の結末とは?

 スター・ウォーズ映画最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は昨年12月15日に公開され、新三部作はいよいよエピソード9の製作が始まろうとしています。

 新三部作に関する前回の記事で、新三部作ではそのテーマが「善と悪」の対立から「光と闇」の拮抗へと変わっていることを書きました。今回は、新三部作の完結編となるエピソード9が、どのような展開を向かえるのか、新三部作の「光と闇」の物語の行方を考えてみます。

《!以後、『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』のネタバレ含みます》

 

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はじめに

 本記事は、『スター・ウォーズ新三部作の謎解き~1~:なぜ新三部作は「光と闇」の話に生まれ変わったのか?』の続きのシリーズ記事になります。直接この記事にやってきた方は、こちらの記事をお読み頂いてから読み進めていただくのが良いです。 

《新三部作の謎解き~1~を未読の方はこちらから》 

www.lakestarwalker.com

 

新三部作は『ダーククリスタル』か?

ファンタジーの名作『ダーククリスタル

    1982年のアメリカ映画であるダーククリスタル1983年第10回サターン賞ファンタジー映画賞受賞、1984年星雲賞メディア作品部門を受賞したファンタジーの傑作と言われている映画である。

 公開時は、独特なファンタジーの世界観と映像美、登場人物をすべてパペットで操作するという画期的な演出方法で話題になり、今なお人気は強い。

 また、セサミストリート』で有名な操り人形師であるジム・ヘンソンの手掛けた映画作品としても有名で、彼はこの後、ジョージ・ルーカスが製作総指揮をルーカスフィルムの務めた『ラビリンス/魔王の迷宮』でも同様にパペット操作を手がけることになる。1982年のまさしく『スター・ウォーズ』オリジナル三部作の人気が絶頂だった時代に生まれた作品でもある。

 『ダーククリスタル』のお話は、善と悪をテーマにする異世界ファンタジーの物語だ。ダーククリスタルの城と世界を支配する暴虐な種族として、スケクシス族と称する種族が登場する。『ダーククリスタル』は、このスケクシス族による大虐殺によって、絶滅させられたと思われるゲルフリン族の生き残りである孤児の少年と少女が、再びスケクシス族の支配から平和と取り戻す話だ。    

  

新三部作に見られる隠れた影響

 『ダーククリスタル』は、その映画のタイトル通り「ダーククリスタル」という結晶が鍵を握るこの物語だが、『スター・ウォーズ』にも「ガイバー・クリスタル」なるものが登場するのは周知の事実である。

 だが、それ以上に新三部作との共通点があるのだ。

 この『ダーククリスタル』の主人公であるゲルフリン族の少年と少女だが、彼らの名前は、ジェン(Jen)とキーラ(Kira)というのだ。

 勘が鋭い人はお気づきだろう。ジェンとキーラの名前に注目してほしい。

 ジェンはレンと名前が似すぎているし、もともと『フォースの覚醒』製作時にレイのキャラクターにつけられた名前はキラだった。つまり、ジェンとキーラは、カイロ・レンとレイそのものなのである。(そして、キラというの名前は、スピンオフ作品である『ハン・ソロ』に登場する女性キャラクターにその名前が引き継がれている)

 そして、このゲルフリン族は、夢幻展開(Dreamfasting)と呼ばれる精神感応力を持ち、互いに意思疎通ができたり情報を交換できたりする能力を持っている。これはフォースそのものであり、カイロ・レンとレイの結びつきで描かれたものと全く同じものなのだ。

ダーククリスタル』と『スター・ウォーズ

 実は、この『ダーククリスタル』が『スター・ウォーズ』との類似点を持つのは実は偶然ではない。なぜなら、ダーククリスタル』はジム・ヘンソンフランク・オズが監督、同じくジム・ヘンソンゲイリー・カーツが製作した映画だからだ。

 フランク・オズはもちろんヨーダの声とパペット操作で有名だし、ゲイリー・カーツは『スター・ウォーズ』『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』の製作プロデューサーである。

 特に、ゲイリー・カーツは、原作者のジョージ・ルーカス、コンセプト・アートを描き『スター・ウォーズ』の世界観を作ったラルフ・マクウォーリーについで、スター・ウォーズをまさしく『スター・ウォーズ』にした重要なメンバーの一人だ。

 宗教学を学んでいたゲイリー・カーツは、仏教、ヒンドゥー教の宗教に興味を持っており、当初ルーカスが提示した「フォース」の概念を、より神秘的なものに深化させたのはカーツの功績である。

 だから、ゲイリー・カーツがつくったこの『ダーククリスタル』は、まさしくカーツ版のスター・ウォーズといっていいファンタジー作品なのだ。

 だから『ダーククリスタル』自身が『スター・ウォーズ』の影響を多大に受けている作品なのだが、時を経て今回、新しく新三部作にあたっては『ダーククリスタル』の影響が逆輸入されているのではないかと思うのである。

 ちなみに、これは単なる偶然だが、この『ダーククリスタル』は2017年に前日譚を語る物語が出来ており、そのタイトルもずばり、『Dark Crystal:Age of Resistance』というのだ。

 

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ダーククリスタル』が描く「光と闇」

 ここで、誤解ないように断っておきたいが、ダーククリスタル』と新三部作、特に『フォースの覚醒』との類似点を指摘したのは私のオリジナルではない。日本では認知されていないようだが、海外のレイロ派の間では密かに指摘されていたことである。

 だから、私としては単に類似点の指摘だけでなく、一歩話を進めて、その類似性から、新三部作がどう完結するかを考察したい。

ジェンとキーラがもたらした大水晶の復活

 さて、そのダーククリスタル』のエンディングはどのようなエンディングか?というと、実は「光」と「闇」の再結合を描いているのである!

 『ダーククリスタル』には、3つの種族が登場する。スケクシス族、ゲルフリン族、ミスティック族という。

 スケクシス族は猛禽類の鳥のような邪悪な支配者であり、皇帝を中心にしてダーククリスタルの城を中心に世界を支配している。彼らはかつてゲルフリン族を抹殺したものたちだ。すなわち、『スター・ウォーズ』で言えば暗黒面の使い手、闇の象徴と考えていいだろう。

 ゲルフリン族は羊のような種族で、フォースのような精神感応力を持つ種族だ。主人公のジェンとキーラはこの種族で、かつてスケクシス族の抹殺を生き延びた末裔である。

 ミスティック族は、カメのような賢く穏やかな種族であり、スケクシス族の支配からも独立して生存している種族だ。ジェンとキーラは二人ともこのミスティック族の中に保護されて正体を隠されて育ったという設定なのだ。

 これは闇に対する光であり、力と攻撃を追求するシスに対して、知識と防御を教義とするジェダイに近いといえるだろう。

 そして、最後はどうなるか?

 なんと、スケクシス族はミスティック族と結ばれて、ウルスケク族となるのである。

 このウルスケク族は神に近い能力を持つ種族で、かつて崇高な存在だったが、過ちにより大結晶を破壊してしまい、スケクシス族とミスティック族に別れてしまったのだ。

 『ダーククリスタル』は、スケクシス族の意思とミスティック族の叡智が合わさることでより高度な存在であったウルスケク族の本来の姿に戻るという話なのである。

 ジェンとキーラはそのためにダーククリスタルの破片を集め大結晶を復活させることに成功する。この別れた二つの種族の合致はゲルフリン族によって成されるとされ、ジェンとキーラは、この再結合、ウルスケク族の復活をなすものとして預言された存在だったことが物語のエンディングで明らかになるのだ。

 

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ダーククリスタル』のジェンとキーラは、ダーククリスタルの破片を見つけ出し、光と闇に別れた崇高な種族であったウルスケク族の復活を果たす。
類似性から考える光と闇の再合致

    『ダーククリスタル』の物語は、スケクシス族が力を追求する種族で、ミスティック族が知恵を追求する種族である点でフォースの暗黒面、光明面の性質と非常に類似している。

 フォースの二つの側面を代表するのが、ジェダイとシスだった。だが、新三部作を見てみるとわかるのだが、イロ・レンはあくまでシスではなく、そしてまた、レイもジェダイではないのだ。

 『最後のジェダイ』を観れば、ルークはレイをジェダイにするつもりはなかったし、ルークはレイに「フォースが何か教えてやる」とだけしか言っていない。だから、ルークのレッスンもまた、レイをジェダイにするものでは全くないのだ。

 カイロ・レンもまた、シスもジェダイも古いものは滅びるべきだと言い放つ。だから彼自身、自分がシスであるとも名乗っていないし、その認識もないだろう。

 だから、カイロ・レンやレイは、『ダーククリスタル』で言えば、力を追求するスケクシス族でもなく、知恵を追求するミスティック族でもなく、第三極にいるゲルフリン族に近いと言えるだろう。

 そして、ゲルフリン族は精神感応力を持ち、スケクシス族の虐殺を逃れたゲルフリン族の生き残りであるジェンとキーラは、ミスティック族に匿われて生きていた。

 カイロ・レンとレイは、フォースを扱え、一見シスやジェダイのように存在しているが、これまでのシス、ジェダイと異なる。この設定にみられるカイロ、レイの二人とシス、ジェダイ三者の関係は、ジェン、キーラの二人のゲルフリン族とスケクシス族、ミスティック族の三社の関係に非常に類似している。

 すなわち、カイロ・レンとレイの二人は光明面と暗黒面を別々に追求しようとしたシスおよびジェダイでなく、それらが再び一つのフォースの二つの側面として復活するという究極の目的のために生まれてきた存在ではないのだろうか? 

まとめ

 『ダーククリスタル』に描かれたジェンとキーラの二人と、彼らによってもたらされた大水晶とウルスケク族の復活。「光と闇」が再び一つになるというこの物語と新三部作の類似性を明らかにしてみた。

 では、新三部作の完結編、かつ「これまでの三部作を一つに結び付けて」完結するというエピソード9で、フォースの光と闇はどうなるのだろうか?そして、それらを体現する二人の主人公、カイロ・レンとレイの運命はどうなるのだろうか?

 彼らは、旧共和国時代から続くジェダイとシスの対立に対して、フォースの真の姿を取り戻し、新ジェダイとして銀河に真の平和をもたらすのだろうか?

 エピソード9の物語の詳細はまだまだ不明だが、脚本についてはすでに一度完成しており、脚本の見直しを経て今年6月から撮影が開始されることになっている。

 エピソード9はその副題こそ、当然まだ明かされていない。

 だが、そのワーキングタイトル(製作中につけられる作品の仮称、一時的な名称のこと)はすでに明らかになっている。

 そのワーキングタイトルは、ずばり『ブラックダイアモンド(Black Diamond)』というのだ。『ブラックダイアモンド』は黒色ダイヤのことであり、まさしく『ダーククリスタル』(暗黒結晶)なのである。