StarWalker’s diary

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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の謎解き~ルークはいつレイの名前を知ったのか?~【ネタバレ・考察】

 早くもエピソード9が気になる新三部作ですが、先月に発売された『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の小説には映画になかった気になる記述がまだまだあります。今回は小説に描かれたルークとレイに関するある疑問の謎を考えてみます。

《!『最後のジェダイ』(映画・小説)のネタバレを含みます

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ルークはレイの名をいつ知った?

 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を見るとわかるのだが、実はルークがレイの名前を知った瞬間は描かれておらず、ルークがレイに「名前は何だ?」というようなやりとりはない。レイはルークにライトセーバーを手渡し、ルークがそれを投げ捨てる。予想外の展開に怪訝な表情のレイは「マスター・スカイウォーカー?」と呼びかけるも、ルークは小屋にこもってしまう。

 その後、チューバッカを連れてようやくルークはレイの話を聞くが、「戻ってファースト・オーダーと戦う気はない」と告げる。その後、レイはルークをあきらめず、彼の後をつけるがここでは二人に会話はない。再び二人が会話するのは、ジェダイ古文書を収めた洞の中だ。ここで、初めてルークはレイをその名前で呼ぶのだが、ルークはレイにその名を聞いたりするくだりはないのである。 

ルークはレイの名前を聞いてない

 フォースに呼ばれてレイはジェダイの古文書を収めた祠にやってくる。レイはルークに「この場所に見覚えがある」ことを伝え、それに対しルークは、ここが「古文書を納めるために何千年も昔に作られた」場所であり、自分も「ジェダイの最古の遺物」だと語る。「この場所を知っているな?」「夢の中で」とレイが答える。ルークはレイに「君は誰だ?」と聞く。それ以降の二人の会話は以下の通りだ(Lはルーク、Rはレイの台詞)

L:Who are you?

R:The Resistance sent me.

L:They sent you? What's special about you?

L:Where are you from?

R:Nowhere.

L:No one's from nowhere.

R:Jakku.

L:All right, that is pretty much nowhere. Why are you here. Rey from Nowhere?

L:君は誰だ?

R:レジスタンスの使いで来ました

L:彼らが君を遣わしたと?なぜ君なんだ?

L:どこから来た?

R:どこでもないわ

L:どこでもないということはないはずだ

R:ジャクーよ

L:そうか、どこでもないようなものだな。君はなぜここにいる?どこからともなく現れたレイ

 このように、この一連の会話の中で、ルークは一度もレイのその名前を聞いていない。そして、レイもルークに名前を名乗っていないのだ。

    突如として、ルークは、レイを名前で呼ぶのである。そして、これがルークがレイの名前を呼ぶ最初のシーンだ。では、一体どこでルークはレイの名前を聞いたのか?あるいはどこでレイが自分の名前を名乗ったのだろうか?

レイはいつ自分の話をしたのか?

 映画を見て以来、この点は不思議だったのだが、普通に考えれば、レイがチューバッカを使って小屋の扉を破り、ルークを小屋の外に引き出した時、この最初にまともな会話を交わした際に、レイが自分の名前を名乗ったと考えるのが自然だろう。

 チューバッカがルークの小屋の扉を破壊して、ルークを引きずり出しレイ、チューバッカがルークにハンの死、カイロ・レンについて語る。だが、映画でも小説でもここでもレイがルークに自分の名前を話したことは描かれていないのだ。

Rey hovered nearby, reluctant to interrupt the two old friends in their mourning. But, it couldn’t be put off any longer.
“Han Solo was my friend,” she said, “There is no light left in Kylo Ren, and he is only getting stronger.”
The mere mention of that name seemed to pierce Luke where he sat slumped beside Chewie, ...

レイは二人の近くでうろうろして、旧友たちが喪に服しているのを邪魔するのを躊躇していたが、それも長くもたなかった。
ハン・ソロは私の友人でした」と彼女は言った。「カイロ・レンの中に光はなく、ただ強くなっているだけ。」
僅かに触れたその名前がチューイの横で前屈みに座っていたルークに突き刺さったようだった。

    この直前の場面を読むと、ハンの死はレイがルークに話したことがわかるのだが、この記述を読むと、レイがカイロ・レンの名前を出したのは二人の会話の中でこれが初めてであり、ルークはここでレイがカイロ・レンの名前を出したことに初めて反応しているように見えるのだ。

   そして、この後もルークとレイの会話は続くが、実はレイが自分の名前をルークに語るシーンはないし、ルークがレイをレイと呼ぶシーンもない

   この三者面談の場面では、レイはあくまで「自分はルークを連れ戻しにレイアの使い」という立場でルークを説得することに徹して、自分の話はしていないだろう。

    何故なら当然その後のシーンでわかるようにルークはレイについて、ジャクーから来たことも何も知らないのだから。レイ自身も自分の第一優先事項は、ルークを連れ戻すことと心得ており、自分のことはその次であることをわきまえている。

 

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レイがルークに語った物語

 だが、レイが自分の名前を語ったと思われる場面が一箇所ある。ルークにレジスタンスを助けるため戻ってきてほしいと懇願するレイだが、ルークはこれを拒む。あきらめないレイはルークの後を追い、ひたすらルークの説得しようと彼を付け回し会話のきっかけを掴もうとする。ここで、映画では二人は会話をすることなくレイはルークの後ろ姿をひたすらついていくのだが、小説のほうでは1か所だけ映画と異なる描写があるのだ。

 それは雨の中ルークの後を歩いていくレイが、自分のこれまでの冒険譚をルークの後ろ姿に向かった話しかけるという描写である。レイは降ってくる雨の寒さを紛らわすため、そしてレイを無視するルークの興味を自分に向かせるために、ジャクーでのゴミ漁りの日々、BB-8がやってきたこと、ファルコン号を操縦したこと、惑星タコダナ、スターキラー基地、そしてチューバッカと一緒にディカーからここへやってきたことなどを一人ルークの後ろ姿に向かって話すのである。  

So she felt the story of her life unspool: all those years scavenging on Jakku, BB-8's arrival, flying the Falcon, seeing the miraculous green of Takodana, finding herself on Starkiller Base, departing D'Qar with a Wookie for a copilot and an acient map for a guide.

そこで、彼女は自分の人生の語ることにした。ジャクーでのゴミ漁りの年月、BB-8がやってきたこと、ファルコン号を飛ばし、タコダナの奇跡のような緑、そして彼女がスターキラー基地で目覚めたこと、副操縦士のウーキーと一緒に古代の地図を手掛かりにディカーを出発したこと。

  そして、まさしくこうしている間に、レイは何かに呼ばれて、ジェダイの古文書のあのシーンに移っていくのだ。この小説の記述によって、レイは自分の冒険については、最初にチューバッカとレイとルークが三人が小屋の外で話をした時は話をしていなかったことがわかる。そして、おそらくだが、レイはルークの背中に向かって自分の話をしたこの時に、初めて自分の名前を語ったのではないだろうか?

ルークの心中は?

 だが、ルークはこのレイの話ははっきり聞き流している。それはルークとレイが古文書を前にしたときの以下の会話でもわかるだろう。これは映画にはなく小説だけにあるやりとりだ。映画では、そもそもレイがルークの後ろ姿に自分の話をする場合がないため会話のこの部分は削除されている。

L:Who are you?
R:Werent't you listening? I told you the whole stroy.
L:I went in and out.
R:The Resistance sent me.

L:君は誰だ?
R:聞いていなかったの?すべて話した通りだわ
L:聞き流してた
R:レジスタンスの使いで来ました

   レイがジャクーから来たことなどは「どこから来た?」と後でルークが聞いている通りで、まるで興味を示しておらず聞き流していた。ルークは、この時はまだレイには全く興味を示さないでおり、単にレイアが信頼したレジスタンスの娘くらいにしか思ってなかっただろう。

   では、もしレイが自分の名前をここで初めて明かしたのなら、ルークはレイが語った冒険譚は聞き流していながら、彼女の名前だけは聞いて覚えていたことになる。これは不思議だが、では何故だろうか?

    実は、ルークはレイの冒険談を聞き流していたとはいえ、ファルコン号に関するくだりはしっかり聞いていたようなのだ。というのも後に続くルークがチューバッカがポーグを食べている時に、こっそりとファルコン号に忍び込むそのシーンで以下のような記述が登場するからだ。

Since the moment Rey had chattered excitedly about flying it, Luke's thoughts had been straying to Han Solo's ship,

レイが興奮してファルコン号を操縦することについて話した時から、ルークの心はハン・ソロの宇宙船に引き寄せられていた。

    つまり、ルークはレイに付きまとわれながら、魚釣りをしたり普段の生活をしているのだが、この間も少なからずハンのことを考えていたと彼の心中を思うのだ。だから、意図的に聞き流していたというよりも、レイが自分の物語を話していた時、彼の意識は、レイのことよりもレイが告げたハンの死とファルコン号のことに向かっていたのだろう。

   ルークはレイが話していたことのうち、ジャクーについては聞き流していたが、レイの名前は覚えていた。そして、彼女がファルコン号を操縦して来た部分もしっかり聞いている。ここで思い出すのは、『フォースの覚醒』で描かれたある描写だ。ハンはタコダナについた時、レイに名前を聞いていたあのシーンである。 

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ハンとの出会い、ファルコン号の話をしたレイはいつ自分の名前を語ったのか?

   レイはファルコン号でハンとチューバッカに出会った。レイはこの出会いについてもルークに向けて話しただろう。そして、彼女がジャクーからやってきたこともゴミ漁りをしていたことも聞き流していた。だが、彼女の話がファルコン号、ハンとの出会いに触れた瞬間、彼はその話を無視できなかっただろう。というより自然に反応せざるを得なかっただろう。

   レイはハンとの話をルークの背中に向かってする中で、ハンに名前を聞かれたタコダナでの思い出を思い出し「ところで私の名前はレイよ」とでも言ったのではないか。以前の記事(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』をもう一度楽しむ:ハンは何故レイを雇おうとしたのか? - StarWalker’s diary)で、『フォースの覚醒』でハンがレイにファルコン号の仕事をオファーしていたシーンを取り上げたことがあったが、レイはハンが彼女に仕事をくれようとしたことも話したかもしれない。

   ルークはハンの死を聞いて以来、ハンのことを考えていた。レイのファルコン号の冒険の話を聞いたルークは、そのことが頭から離れないでいたに違いない。だが、ハンの話をされた中で、レイにふと自分の名前を名乗られたルークは、レイの名前をしっかりと耳にしたに違いない。

    だから、ルークはレイがジャクーのことは聞き流してしまっていたが、ファルコン号のことと「レイ」という名前だけはしっかり耳に刻んでいたと考えてみたらどうだろうか?

 「レイ」と「ルーク」の名前は、同様に「光」を意味する名前であることは、このブログで何度も触れているが、ルークは彼女のレイという名前を聞いて、自分の名前に似ているくらいのことを考えたかもしれない。

 ハンの死を聞いたルークの心境は想像を絶するあまりに複雑であったに違いない。こう考えると、ルークはレイに付け回されているのを無視していたように見えながら、ハンの死を思うあまりに、レイについては考えられなかったのではないだろうか?だから、レイがいくら自分の話をしたり、話しかけてもルークは彼女を無視していたといよりも、ハンのことを聞いた気持ちをどう整理つけるべきか、ぶらぶらと歩きながら常に考えていたかもしれない。

 レイがジャクーから来たことも、ゴミ漁りをしていたことも、ルークは聞いていなかったわけだが、そう考えたら、このシーンは少し見方が変わってくる気がするのだ。

 私は、ルークとレイは、オビワンとアナキン、オビワンとルーク、ヨーダとルーク以上に深い師弟愛で結ばれたよき師と弟子になれる組み合わせだと思っているのだが、こう考えていくと、単なる謎解き以上に何かを感じるのは私だけだろうか?

 その意味で『最後のジェダイ』でのルークとレイの決別の悲しさを超えるようなルークとレイの師弟愛を、エピソード9ではぜひ期待したいのだ。