StarWalker’s diary

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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』・名作映画へのオマージュの数々まとめ【ネタバレ】

 スター・ウォーズ映画最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が遂に12/15に公開され絶賛上映中です。この『最後のジェダイ』ですが、この映画は過去の名作映画へのオマージュが散りばめられてます。

 1977年に公開された『スター・ウォーズ』も色々な映画の要素を詰め込んだもので、以前にもこのブログで『暁の出撃』との比較などもしました。その辺を楽しむのもまた『スター・ウォーズ』の一つの楽しみ方だと思います。そんなわけで、今回は、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』に散りばめられた名作映画へのオマージュを紹介します。 

《!以後、『最後のジェダイ』のネタバレを含みます。未鑑賞の方は読まないでくださいね》

 

  

超空間の追跡 -『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2009年)

 ライアン・ジョンソン監督は、前作『フォースの覚醒』のJ. J. エイブラムス監督の作品へもオマージュを捧げている。今作でレジスタンスを追い詰めるファースト・オーダーは、アクティブ・トラッキングという新技術で超空間を超えて、レジスタンスの宇宙船を追撃してくる。

 これは『スター・トレック イントゥ・ダークネス』の中盤、ドレッドノート級の新型戦闘艦ヴェンジェンス号がエンタープライズ号にワープ航法中に追いつくという描写と同じ。 そもそも、ワープ中は追撃ができないと言い張るカークに対して、ヴェンジェンス号が、実はそれが可能なワープ航法の新技術を持っていて追撃されるという展開そのものが全く同じだ。

  

ルークとカイロ・レンの説明 -『羅生門』(1950年)

 ルークとカイロ・レンの間にあった過去の衝撃の出来事。二人がレイに話を打ち明けるシーンで、ルーク側、カイロ・レン側それぞれの視点から語られる二つの異なる真実を回想シーンで見せるのは、黒澤明監督の傑作『羅生門』と同じ形式だ。  

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カント・バイトのカジノ -『つばさ』(1927年)

 フィンとローズが向かったカント・バイトのカジノ。最初にカジノの様子が映し出される様子、カジノのテーブルの上を人をかき分けて舐めるようにカメラがパンしていって、一番奥の人物を映し出すが、これは航空映画で有名なウィリアム・A・ウェルマン監督のデビュー作『つばさ』へのオマージュ。第1回のアカデミー賞で初の作品賞受賞作品という映画史に残る作品でもある。若き日のゲイリー・クーパーも出ていた。 

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27B/6 -『未来世紀ブラジル』(1985年)

 カント・バイトのカジノでフィンとローズは、公共ビーチに違法駐機したことを警官に見つかり逮捕される。この時、一人の警官が彼らの罪状を「規則27B/6違反だ」というのだが、実は27B/6というフレーズは、テリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル』に登場する。アパートのエアダクトの修理のためにやってきた、非合法の修理屋であるハリー・タトル(ロバート・デ・ニーロ)が「公式にはフォーム27B/6を記入する必要がある」という台詞を含め、複数回登場する。 

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駐車違反 -『ラスベガスをやっつけろ』(1998年)

 同じくテリー・ギリアム監督の作品である『ラスベガスをやっつけろ』には、ラスベガスに来たジャーナリストのラウル(ジョニー・デップ)と、弁護士のドクター・ゴンゾー(ベニチオ・デル・トロ )が、カジノ前に車を止めて駐車違反だと言われる場面が登場する。ご存知の通り、ベニチオ・デル・トロは『最後のジェダイ』にも出演していて、テリー・ギリアム作品へのオマージュとなっている。

 

警官に追われるフィンとローズ -『THX-1138』(1971年)

 カント・バイトの警察から追われるフィンとローズ。カント・バイトの警察の制服姿と追跡劇は、ジョージ・ルーカス監督の『THX-1138』の世界観だ。二台のスピーダーでフィンとローズを追跡してくる様子も、白いヘルメットの警官もヘルメットの前面に番号が書かれていたり、排水溝を通って逃亡するというストーリーも『THX-1138』へのオマージュになっており、原作者ジョージ・ルーカスへリスペクトにもなっている。  

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 THX-1138』(1971年) から。逃亡するTHX-1138を追い詰める2人のアンドロイド警官。2台のスピーダーバイクに乗ってフィンとローズを追う元ネタはここにある。

 

グラスの水 -『ジュラシック・パーク』(1993年)

  フィンとローズが解放したファジアーがカント・バイトのカジノに乱入。ファジアーが駆ける振動で、グラスの水が波紋を作るが、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』で有名なティラノサウルス・レックスが登場する際に、グラスのコップが振動するあのシーン。 

 

昼寝中に秘密話を盗み聞くDJ-『椿三十郎』(1962年)

 カント・バイトの警察に逮捕されてしまったフィンとロース。牢屋の中で、コードブレーカーの話をしていると、昼寝をしていたDJが起きてきて「俺なら助けられるぞ」という。昼寝をしている悪党が、話を盗み聞きするくだりは、三船敏郎演じる三十郎が、森の中の社殿で休んでいると、若侍の密談を聞くという黒澤明監督の『椿三十郎』の冒頭シーンへのオマージュ。 

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鏡に映ったレイ -『市民ケーン』(1941年)

  惑星オクトーの地下で鏡に映った自分を見るレイのシーンは、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』や『上海から来た女』を思い起こさせる。映画史に残る傑作『市民ケーン』では、映画の終わりで、妻と愛人を失い、孤独にうちひしがれる新聞王ケーン。一人肩を落として寂しく巨大な鏡の間に現れ、ケーンの無限の鏡像が鏡に映る。新聞王ケーンの孤独を現したこの場面は、『最後のジェダイ』ではレイの孤独を表すシーンとして同じように鏡に無限に映った自己の姿として演出されている。

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レジスタンスの指輪 -『カサブランカ』(1942年)

 フィンとローズはカント・バイトの警察から逃亡し、馬小屋でファジアーの世話をしている少年に出会う。警報を鳴らそうとした少年を止めて、「我々はレジスタンスなの」と指輪に隠れたレジスタンスの紋章を見せるローズは、クラシックの名作映画『カサブランカ』で反ナチのため戦う自由フランスをひそかに支援するリック(ハンフリー・ボガード)に、ラズロが指輪を見せてレジスタンスのメンバーであることを伝えるシーンと重なる。

 新三部作のレジスタンスとファースト・オーダーの対立自体が第二次大戦中のナチスと自由フランスのレジスタンス運動をモデルにしていることは明らかだが、『カサブランカ』もヴィシー政権支配下カサブランカを舞台にして、反ナチとレジスタンスの戦争映画である。 

カサブランカ (字幕版)
 

 

崖上から見た崖底 -『めまい』(1958年)

 カント・バイトのカジノで牢屋から脱出したフィンとローズ。警察に追われたフィンとローズは、ファジアーに乗って脱出するが、草原を駆け抜けて崖に追い詰められる。崖の上から崖下をのぞき崖底から落ちていくような迫力あるショットは、有名な『めまい』(アルフレッド・ヒッチコック監督)からのオマージュ。 

めまい (字幕版)

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崖下から現れるDJ-『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989年)

 崖に追い詰められたフィンとローズの背後から現れるDJ。宇宙船のタラップに立って崖下から姿を現す様子は、『バック・トゥー・ザ・フューチャー PART 2』で、ビルの屋上に追い詰められたマーティが、デロリアンの上に乗って現れるシーンだ。 

 

ファズマの最期 -『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989年)

 同じく『バック・トゥー・ザ・フューチャー PART 2』の上記と同じシーンで、デロリアンの上に乗って現れたマーティと、開いたデロリアンのドアに顔を打たれて倒れるビフ。映画後半でファズマと戦い、一旦は敗れたかに見えたフィンが、上昇する床に乗って現れて、油断していたキャプテン・ファズマを頭を殴り倒すシーンでも同様に使われている。 

  

 カイロ・レンとレイのロマンス-『ドラキュラ』(1992年)

 カイロ・レンとレイのゴシック・ロマンス調の展開は、『吸血鬼ドラキュラ』のドラキュラとミナの関係を思い出す。特に1992年のフランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』は、原作にのっとりながらもドラキュラ伯爵とミナのラブロマンスを主軸に描いた傑作。劇中で登場するカイロとレイの二人の会話も、「あなたは誰なの?」「私は無だ」というこの映画に登場するドラキュラとミナの会話をヒントを得て描かれているし、二人の精神的な結びつきの発想や、二人が密会している場所に第三者が登場して割り込むという描写の原点もここにある。

ドラキュラ (字幕版)

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左目を突かれて倒される近衛兵-『ファンタズム』(1979年)

 キャプテン・ファズマの名前の由来にもなったドン・コスカレリ監督のホラー映画『ファンタズム』。J.J.エイブラムス監督もファンだというこの映画にも、ライアン・ジョンソン監督はオマージュを捧げている。 

 『ファンタズム』で、少年マイクが彼の周りに起こるミステリーの謎を暴こうと、墓地に潜入したところ、後ろから謎の男に羽交い絞めにされる。そこに銀の空飛ぶ球体(シルバー・スフィア)が飛んできて登場し、男の左目をえぐって男は死ぬ。

 スノークを倒した後のレイとカイロ・レンが、エリート・プレトリアン・ガードと戦うが、最後の敵にカイロ・レンが羽交い絞めにされる。レイが投げたライトセーバーを受け取ったカイロが、敵の左目を指して倒すシーンは、『ファンタズム』へのオマージュだ。 

 

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 『ファンタズム』(1979年)で少年マイクを羽交い絞めにする男が、シルバー・スフィアに左目を襲われるシーンは『最後のジェダイ』でオマージュされている。

 

アイロンマシーン -『ハードウェア・ウォーズ』(1978年)

  フィンとローズが潜入したファースト・オーダーの司令船、メガ・スター・デストロイヤー。フィンとローズがファースト・オーダーの将校の制服に着替えるが、画面が切り替わったと同時にいかにも思わしげに登場するのは、将校の制服にかけるアイロン。1978年の短編スター・ウォーズ・パロディ映画である『ハードウェア・ウォーズ』に登場したアイロン型宇宙船への逆パロディ、オマージュになっている。 

 『ハードウェア・ウォーズ』は『スペース・ボール』と並んで私の好きなスター・ウォーズ・パロディ映画なので未鑑賞の方は見てみることをお勧めします。短編ですが本当に下らなすぎて笑えるパロディです。

  

自動追尾装置-『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)

 今回、ファースト・オーダーがレジスタンスを追い詰めるアクティブ・トラッキング装置。フィンとローズはスター・デストロイヤーに潜入して、このアクティブ・トラッキング装置を停止させようとする。アクティブ・トラッキング装置は、Y字型をした三本の管からなる装置で、『バック・トゥー・ザ・フューチャー』に登場したデロリアンの時間旅行を可能にするという次元転移装置(フラックス・キャパシター)と同じ形をしている。

 

敵艦への突撃 -『スター・トレック』(2009年)

 ホルドー中将は、惑星クレイトに降り立つレジスタンスの残党を救うため、自ら司令船ラダスで、敵艦メガ・スター・デストロイヤーへ突撃する。メガ・スター・デストロイヤーは破壊され、レジスタンスは惑星クレイトへ逃げる。これも『スター・トレック』で老スポックの乗った宇宙船が、ナラーダに突撃してこれを破壊するというシーンがある。ちなみに、『スター・トレック』でもカークと副官のスポックが対立して、カークが指揮権を奪うというプロットがあり、これも『スター・トレック』と同じだ。

  

カイロ・レンとルーク-『マトリックス』(1999年)

 映画終盤で、かつての弟子であるベン・ソロ、今のカイロ・レンと対決するルーク・スカイウォーカー。ルークとカイロは直接ライトセーバーでは戦わないが、カイロのライトセーバーをひらりと身を躱して戦うルークは、ウォシャウスキー兄弟の1999年の映画『マトリックス』の銃弾除けシーンのを思い出させる。 

マトリックス (字幕版)
 

 

まとめ

  以上、私が観た範囲で思いつくものを挙げてみましたが、もしかしたらまだ色々とあるかもしれません。ちなみに、エリート・プレトリアン・ガードのデザインなどは、『乱』『影武者』の赤武者の影響を受けていると思われ、過去の名作はもちろんのこと、スティーブン・スピルバーグフランシス・フォード・コッポラジョージ・ルーカス黒澤明と、原作者であるジョージ・ルーカス自身も影響を受けた映画の巨匠たち、そしてスピルバーグを崇拝する前作の監督でもあるJ・J・エイブラムス、SF・ファンタジー映画の テリー・ギリアムへのリスペクトにあふれていることがよくわかります。

 カント・バイトのシーンは、『THX-1138』『未来世紀ブラジル』などジョージ・オーウェルの『1984』的世界観を持った先駆的な2つの映画からオマージュを取り入れているなど、意識して作っているのですね。

    ちなみに、余談なのですが『スター・トレック』との類似は、これはオマージュでなく完全にプロットのパクリなのでは・・レジスタンスの追跡劇からホルドーとポーの対立、ホルドーの突撃は、完全にJJ版『スター・トレック』からアイデアを取ってきているだけで、もう少し何か考えなかったのかと思ってしまうのは私だけでしょうか。

    『最後のジェダイ』はまだまだ公開中。過去の名作映画のワンシーンを頭に入れて再鑑賞してみるとまだまだ新しい発見があるかもしれません。 

   皆様、フォースと共に・・・